ワールドカップの裏で|ガザでサッカーができない現実
世界中がワールドカップに熱狂する一方で、ガザではサッカーをする場所さえ失われています。
かつて子どもたちや若者がボールを追いかけていたスタジアムは、避難所となり、壊れた施設の多くは今も使えないままです。サッカーは、ガザの人々にとって娯楽であるだけでなく、日常を取り戻すための希望でもありました。
ガザのスポーツ環境は深刻な打撃を受けている
ロイター通信は2026年6月、ガザの住民が避難所やカフェ、学校などで、限られた電力と不安定なインターネットを使いながらワールドカップを観戦している様子を報じました。
報道によると、戦争が始まって以降、ガザではプロスポーツが事実上停止しています。選手たちは練習も試合もできず、多くの人が避難生活を続けています。
パレスチナサッカー協会の情報として、ロイターは約1,000人のアスリートが亡くなり、約285のスポーツ施設が破壊されたと伝えています。アルジャジーラも、2026年3月時点のパレスチナサッカー協会の報告として、1,007人のスポーツ関係者が死亡し、265のスポーツ施設が被害を受けたと報じています。
スタジアムは避難所になった
ガザの象徴的なスタジアムの一つであるアル・ヤルムーク・スタジアムは、現在、避難する家族たちの仮住まいとして使われていると報じられています。
かつて観客の声援が響いていた場所に、今はテントや生活用品が並んでいます。サッカー場は試合のための場所ではなく、人々が生き延びるための場所になってしまいました。
それでも、ボールを追いかける人たち
アルジャジーラは、ガザの切断障がい者サッカーチーム「Gaza Al-Irada」の選手たちを取材しています。彼らは、残された数少ないスポーツスペースで練習を続けています。
十分な道具も、移動手段も、安全な環境もありません。それでも選手たちは、サッカーを通じて、自分たちの人生をもう一度取り戻そうとしています。
選手たちにとってサッカーは、単なる競技ではありません。失われた日常をつなぎとめるものです。そして、世界に自分たちの存在を伝えるための大切な手段でもあります。
世界のサッカーと、ガザの現実
ワールドカップは、世界中の人々が同じ時間を共有する大きな祭典です。
しかしガザでは、画面の向こうに広がる華やかなスタジアムと、自分たちの目の前にある破壊された街との間に、深い隔たりがあります。
それでも人々は試合を見ます。発電機を使い、スマートフォンや古いノートパソコンを囲みながら、世界のサッカーを見つめています。
その姿は、ただの観戦ではありません。日常を失った人々が、それでも世界とつながろうとする姿です。
パレスチナのサッカーが伝えていること
ガザでサッカーができない現実は、スポーツの話だけではありません。
そこには、子どもたちの遊び場が失われた現実があります。選手たちの夢が断たれた現実があります。そして、文化や地域社会の中心だった場所が、壊されてしまった現実があります。
サッカーは、パレスチナの人々にとって希望を表すものでもあります。だからこそ、スタジアムが壊れても、ボールが古くなっても、人々はプレーを続けようとします。
世界がサッカーを祝う時、ガザでサッカーを失った人々のことも、忘れてはいけません。
出典
- Reuters|Gazans displaced by war watch World Cup from the ruins
- Al Jazeera|World celebrates, but Gaza watches the World Cup from a distance
- Reuters|Soccer returns to Gaza pitch scarred by war and loss
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