パレスチナ・ナーブルス地方で1000年以上の歴史を持つ「ナーブルスソープ」。
その製法は世代から世代へと受け継がれ、2024年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
この石鹸は、肌にやさしいことはもちろん、地球環境にも深く配慮されたサステナブルな製品です。
では、なぜナーブルスソープは環境に良いと言えるのでしょうか。
1. 天然素材100% ― 自然からの贈り物だけで作られる
ナーブルスソープの主原料は、地元で収穫された新鮮なオリーブオイル。
そこに加えられるのは、水と自然由来のアルカリだけです。香料、合成着色料、防腐剤は一切不使用。
そのため、製造工程から排水に至るまで化学物質による汚染を生みません。
川や海を流れる水が、自然のままの姿で次の命を育むことができます。
2. 廃棄物ゼロに近い製法 ― 無駄を出さない知恵
ナーブルスソープは「釜焚き製法」でじっくりと作られます。
この方法では副産物や廃液がほとんど発生せず、石鹸を切り出した際に出る端材も再び製品化されます。
1000年以上前から続くこの製法は、現代の「ゼロウェイスト」の考え方を先取りしたものであり、資源を最後まで大切に使い切ります。
3. 高い生分解性 ― 使い終わった後も自然に還る
ナーブルスソープは使用後、水や土壌中の微生物によって自然に分解されます。
合成界面活性剤を含む市販の洗浄料は、分解されにくく環境に長く残ってしまうことがありますが、この石鹸は環境に負担を残しません。
川や海の生態系を守りながら、私たちの生活を清潔に保ってくれます。
4. 地産地消で輸送エネルギー削減 ― 生まれた地で完結するものづくり
原料のオリーブはすべてナーブルス周辺で栽培され、石鹸も同じ地域で製造されます。
生産から完成までが地域内で完結するため、長距離輸送による二酸化炭素排出を大幅に減らせます。
これは、環境への負担を減らすだけでなく、地域経済の活性化にもつながっています。
5. 再生可能な農業の支援 ― オリーブの木が守る未来
オリーブの木は根を深く張り、土壌をしっかりとつかんで浸食を防ぎます。
乾燥地帯では、これが砂漠化を防ぐ重要な役割を果たします。
ナーブルスソープを選ぶことは、持続可能なオリーブ農業を支えるだけでなく、パレスチナの農家の生活や伝統的な暮らしを守ることにも直結しています。
6. プラスチック削減 ― シンプルな紙包装
ナーブルスソープは、紙包装または紙帯のみで販売されます。
液体石鹸やシャンプーのようにプラスチック容器を必要とせず、廃棄物を大幅に削減。
(輸送時や保管時の匂い移りを防ぐために、紙箱の上から薄いシュリンクフィルムを施す場合もありますが、その使用量は最小限です)
ナーブルスソープは、環境負荷の少ない製造・使用サイクルを持つだけでなく、長い歴史と文化的価値を備えています。
この石鹸を手に取ることは、肌と地球を同時にいたわり、遠く離れた土地の人々の暮らしと自然を守ることにつながります。
日常の小さな選択が、未来の大きな変化をつくる。
ナーブルスソープは、その第一歩となる存在です。